以前、「究極の立体切断」アプリのレビューを書きました。
先日、この花まるラボさんの新作「究極の立体《展開》」がリリースされ、アプリ試用の機会をくださいました(*´Д`)
せっかく無料で使わせていただいたので、アプリの紹介と中学受験生の活用に焦点をあててエントリを書きます。
※ 有償アプリを無料でもらうのって、(内容的に宣伝になってなくても)もしかしたら PR記事になるのではと思い、新たにPRタグも作りました。
「究極の立体《展開》」とは
「究極の立体《展開》」は名前のとおり、立体図形の展開図を遊びながら学ぶことができる、パズルゲームのような知育・教育アプリです。iPhone/iPad/Android のストアで購入できます。
遊び方は簡単で、ある立体の展開図が表示され、それがどんな立体の組み合わせで構成されているかを推理するゲームです。立方体や円錐などの単純なものから名状しがたい形まで、95個の立体の展開図が出題されます。また、解答後には、立体をぐるぐる回したり、展開図から立体に組み上がったりするアニメーションを好きなだけ見ることができます。
中学受験の算数の問題でも、立体図形の展開図を見せてきて「この立体の体積は?」とか「この点はどこと重なる?」なんていう問題があるかと思いますが、このアプリはそういう問題が苦手なこども向けの展開図練習にも良いかもしれません。ただ、「この点はどこと重なる?」という問題が出るわけではありません。あくまでも「出来上がりはどんな立体?」を推測するゲームです。
中学受験生ボーイに遊ばせてみた
もうすぐ 6年生の男子ボーイは、空間把握は割と得意。少なくとも、縦列駐車のできないママの5倍くらいは得意です。以前遊んだ「究極の立体切断」も大好きで、その日のうちに一通り遊んでしまったようなお子様です。
今回、私の iPad で「究極の立体《展開》」を起動して BGMの音楽が流れるのが聞こえるや否や、「立体のアプリ遊ばせて!」と寄ってきました。前の「立体切断」と同じBGM なので、覚えていたんですね。新作だと知ると喜び勇んでテーブルにつきました。
まずは、簡単な図形から。「カンタン、瞬殺。」
「・・・・?」ステージ30あたりにくると、手がたびたび止まるようになりました。
ステージが進むと、複数の立体を組み合わせたり差し引いたりして作る図形の展開図が出てきます。展開図はすごいシンプルなのに、ひらめかないと難しい。
「ファッ・・・?」後半戦はかなり難しいものが出てきます。
いちど回答を間違えると展開図が途中まで組み合わさるヒントを見ることができるので、そこでピンとくることもあるようです。
何度か間違えると正答が表示されてステージやり直しになってしまうのですが、この仕様は、このアプリをヌルくしている要因の一つでもあると感じます。ステージやり直しになってしまうと、正答を見た直後にもう一度問題を解き直すことになるので、暗記した答えを返すだけでステージ評価が ☆3 になってしまいます。すると、「このステージで苦労した」という履歴が残らないのですね。「間違えた問題は自力で解けるようになるまで繰り返して解く」ということができないのは残念でした。
ただ、問題自体はとても工夫されていて面白く、ボーイはステージ60くらいまで一気にやって、ママが強制的に休憩させました。
ITパパによる考察
空間把握が苦手な ITママと違い、ITパパは過去に CAD で航空機の設計をしていた経験もあり、立体の展開はかなり得意です。せっかくなので、ITパパにもアプリを見てもらいました:
三角形、四角形、台形などの平面の並びからどういう立体が生じるのか。パターンを多く経験したり覚えたりするのには便利なアプリだと思う。この訓練で育つのは結構特殊な能力。算数の問題集は多数あるけど、こういう風に立体の展開図をアニメーションで確認できるものはなかなかなくて、面白い。
後半はかなり難しい。展開図を頭の中で組み立てる想像力と、解答を推理する力が必要。
なるほど。たしかに、後半の複雑な図形は、一般の中学受験生には不要かもしれませんが、色々なパターンを見ておくことは、良い経験になるかもしれません。ちなみに私は前半の立体展開図でも、すごくシンプルに見えるのに立体図形が想像できず、解答を見て初めて「あ〜、ここがこういう形に組み上がるんだ!」という発見がありました。最初の20ステージくらいを何周かすれば、私も展開図から立体が見えるようになるかもしれません。
ITママの感想
男性陣からは割と良い評価を得たこのアプリですが、中学受験生ママの目で見ると、「こうだったらいいのに」という点がいくつかありました。
まず、最初の方でも書きましたが、中学受験生向けを謳うのであれば、入試問題に沿った問題のジャンルがもっとあってもよかったように思います。さすがに立体の体積を求めよ的な問題はアプリのコンセプト的にも合わないと思いますが、「この点はどこと重なる?」とか「この面は展開図でいうとどこ?(5秒で回答)」みたいなサイドステージがあってもよかったのかなと。
また、ステージ一覧で、展開図のサムネイル的なものが見られたらよかった。今はステージ番号と☆の数しか見られないので、「あの苦労した展開図のステージ、どれだったかなー」というのがわかりづらいのです。また、ステージ毎にどれくらいの時間がかかったか、自力で解けなかったかもわかったらよかった。中学受験に向けた勉強は、「できなかった問題は時間をおいて解き直す」ことが基本なので、どれができなかったか、どれを解き直したいかが効率的に分かる仕組みがあったら、アプリを使用する大きなインセンティブになると思います。
最後に、これは前作についても書きましたが、5000円という価格設定は、個人使用するアプリとしては、コンテンツの量などを考えてもかなり高く感じます。塾や学習教室のアカウントでアプリを買って多人数で使うなら 5000円でも安いかもしれませんが、できれば個人ユーザの裾野を広げるためにも、月300〜500円程度でサブスクリプションモデルでの提供があったら良いなと思います。そしたら中受ペアレンツの方々は、立体の単元を習う前後とか模試で展開図の問題を大問ごと落とした後とかに、1、2ヶ月くらい使ってみたいのではないかと。
結論
丁寧に作られた、良アプリです。
前の「切断」のアプリはキャンペーンで3000円に値下げされたりしたので、購入を検討されている中学受験ペアレンツの方々は、急ぎでなければとりあえず本作も値下げ待ちをお勧めします(*´Д`)